珍走漫画に踊らされて
珍走漫画一覧
「特攻の拓」
まだまだ昭和が抜けきらない1991年。実在するバイクを非常にリアルに、魅力的に描き大ブームとなった。
作画の所十三は以前「SHOGUN」という面白い起業漫画を描いていて、綺麗な作画、テンポもよく、乱闘シーンも迫力があった。少年マガジンの漫画ながら、起業・実業家というリアルな金儲け・生き方を初めて知り、自身目標とする所となった。
「バリバリ伝説」
バイクレースをメインにした漫画。この作者は後に「イニシャルD」という珍走車漫画も描いている。公道を暴走する描写から、現実の事故をもっとも誘発しているかもしれない。
ほか
珍走の投稿写真を扱った雑誌などもあった。成年雑誌などでは珍走や不良がセットで描かれた漫画が多くあった。
珍走漫画の罪
珍走行為の美化、抵抗の軽減
極端に美化されたストーリー・絵に感化され、珍走への抵抗が大きく下がる。
珍走漫画の功
犯罪抑止
道路交通法違反をあえてさせる事で、他の犯罪行為(窃盗・傷害・強盗・強姦等)への発展を緩慢に抑止できている模様。サイレンをならして追跡するのも、道路交通法違反を強く再認識させ、意識をそこに縛るのが目的?
更生はムリ
珍走にいそしむ輩はいくら施しを与えて更生しない。もともと教育・家庭環境からの逃避でもあるので。
誘導する
本人達も知らず知らずのうちに、実は秩序だった珍走へ誘導されていく。
知らぬ間に消耗させる
珍走は知らぬ間に消耗する(意外と筋肉を使う・騒音による難聴・風圧による裸眼の疲弊・脳細胞の萎縮)。パチンコにも通ずる。
珍走同士の衝突・喧嘩
珍走のグループの成立と対立を煽る事で、似た者同士で潰しあい、消耗するように誘導する。民間人には手を出さない事を美学とするように描く(ヤクザ漫画にも通ずる)。
生き方を教えてくれる
漫画の影響というのは大きい。ブラックジャックを読んで医者を志す人もいれば、珍走漫画に影響されてうまく誘導・消耗させられいる事に気付かない人もいる。
アウトローにこそ生き方の手本は必要で、珍走漫画もまたその役割を果たしている点は興味深い。
デジタル漫画の台頭と懸念
ひとつ気がかりな点もある。出版社を介さないデジタル漫画の台頭である。誰でも気軽に漫画を公開できる一方で、読者を飽きさせない為の過激な描写が 競って増えてきている。感化されて道を外す人間もまた増加の一途を辿るかもしれない。
中二病
珍走とはブームの踏襲であり、オリジナリティやアイデンティティを語るには余りに安直である。ダークサイドコスかと。