中学生の不良化2

不良の心理

中学生という時期、また自我形成期に独特の心理について深く考える必要があります。

不良というポジション

秀才、スポーツ万能、美人、お金持ち、お調子者。学校の中で人は他人を見る時、知らず知らずのうちにそのポジションや個性をも捉えています。不良の多くが外見からそれと分かる格好をしたがるのは、まさにそれこそが不良らしさだからなのです。見た目から入るのも中学生らしいといえます。

既存概念の否定

市民的不服従というにはあまりに根拠の薄い、盲目的な反抗が彼らの特徴です。学校に対する反体制派としての位置付けも含んでいるため、まず反抗ありきとなります。そしてそれはあらゆるルールやモラル、規定概念、常識といったものに対しても突き進んでいきます。

学校とはある意味で社会主義体制のようなものです。教育機関の管理のもとに計画的に教育され、互いに競い合わされるのですから。そう考える不良とはルンペンプロレタリアートとなるのでしょう。

被害者意識

彼らの多くは現在の境遇や自身の評価について全く受け入れる事が出来ずにいます。それは差別の如く彼らの自尊心をも蝕むのでしょう。そして自分が不良化したのは 全て自分以外に原因があると言うのです。彼らの家庭の破綻が社会の軋轢の果てに産み落とされていると考えれば、確かに彼らは被害者です。

不透明な将来に対する不安

不良の多くは将来を見据えていません。大多数が高校進学を当たり前とする現代にあって、彼らの多くはそれすら家庭の事情もあってままならないのです。彼らはあえてその事について考えないようにしているようです。ゆえに彼らは常に情緒不安定で、忘却のための刺激を求めて行動するのです。試験週間や卒業間近になると彼らはひどく動揺します。

自傷行為

意外にも自傷行為も観測されます。これは自暴自棄な行動の一つの傾向です。彼らは時に、自らにもその暴力の矛先を向けてしまうのです。彼らはそれを、ほとんど衝動的に行ってしまいます。外に向かえば暴力、内に向かえば自傷となります。ヒステリックなまでの反抗姿勢は、絶望して引きこもりや自殺を選んでしまいかねない鬱衝動への最後の抵抗といえるのかもしれません。

脳と不良との因果関係

脳の形成と不良化との因果関係について、科学的な視点から推察してみます。

先天的な脳の形成不全による影響

脳がデリケートな生体組織である事に由来する、発育上の先天的な形成不全が観測されています。いわゆる知的障害者ほど顕著でないが故に、保護の対象とならないグレーゾーンが実は相当数あると考えられます。彼らの多くは既存の集団学習においては低能力と格付けされているため、そのトラウマゆえに諦めやすい性格になります。

近年は注意欠陥・多動性障害といった発達障害としてより寛容に捉えるべきという考えも広まってきていますが、そこを理解できてしまうが故の苦悩も生じます。

後天的な生活環境に由来する影響

脳の発育過程のそれぞれにおいて適切な学習がなされたかどうかによって、脳の成長は大きく変わってきます。そしてそれは家庭のそれぞれの環境や事情によりかなりの差異が出ています。生まれてきた家庭が最悪であれば、悲しいかな、不良化への道が開かれます。貧困、家庭内暴力、離婚、育児放棄、そして虐待。負の連鎖を見て取る事ができます。

不良漫画、映画、ドラマの影響

不良の背景に不良漫画の存在は欠かせません。かつて校内暴力溢れた時代にも、そんな漫画やドラマがありました。

投影と感化

主人公を自身に投影して読み込んでいる内に、自身が漫画の主人公に感化されていく。いわゆる中二病と言われる現象です。実は不良とは中二病なのです。

不良漫画の功罪

不良漫画が不良を生み出しているとしたら反社会的な気もします。一方でそんな反社会性に感化されやすい層の負のエネルギーを、できる限り上手くリードする役割もあります。